化学・素材分野に広がる

ChemMat

Business Field

日鉄ケミカル&マテリアルは、日本製鉄グループの中核セグメントとして鉄以外の素材を一元的に取り扱い、世界の中でも独自性の高い事業を展開しています。主にコールケミカル事業部門、化学品事業部門、機能材料事業部門、複合材料事業部門を展開しています。化学と新素材の技術を融合させて、日本製鉄グループの総合素材対応力強化の一翼を担います。

事業紹介

コールケミカル事業部門 - Coal Tar Chemicals -

製鉄プロセスで生成する副産物(コールタールなど)を有効利用することで、様々な炭素材料やタールケミカル、タールファイン、工業用ガス事業などを展開しています。「製鉄化学」と呼ばれるこの分野において、コールタール蒸留技術を極め、ニードルコークスやカーボンブラックなど多種多様な高付加価値製品を造り込んできた長い実績があります。『世界で最も真面目にコールケミカルに挑み』、『世界トップクラスのコールケミカル』と自負しています。

主な製品・用途
ニードルコークス

ピッチコークスはその結晶性の違いからニードルコークスとアモルファスコークスに分類されます。ニードルコークスは、電気製鋼炉の人造黒鉛電極の原料として利用されています。黒鉛電極は3000℃をはるかに超える過酷な使用環境に耐えるために、縦方向の伸びを最小限に抑えることと、電極製造工程での膨張を最小限に抑えることが求められます。当社グループのニードルコークスはこれらの面で最高品位を実現し、世界トップレベルの品質と認められています。

カーボンブラック

豊富で良質なタール系油の自社原料と、蓄積した高度な技術を最大限に生かし、市場で高い評価を得ています。主用途である自動車用タイヤでは、成分の約25%がカーボンブラックで占められており、高度な耐摩耗性や燃費特性を付与します。このようにタイヤの補強材として自動車産業における品質・安全性の向上に貢献しています。

タールケミカル
(無水フタル酸、ナフタリン類、ピリジン類など)

コールタールには光感応性や耐熱性、導電性、発色性、防食性、生理活性など様々な性質を持つ成分が含まれており、当社ではコールタールから製造した様々な化学製品を幅広い分野へ供給してきました。また、これら製品の製造に不可欠な世界トップレベルの気相酸化触媒技術や、独自の精密分離精製技術を有しています。

特殊炭素製品

製鉄化学で培った素材原料の調整技術と、独創的な炭化・黒鉛化技術を駆使して製造される特殊炭素製品は、半導体・冶金をはじめ、多くの基幹産業分野において高い評価を得ています。また長年の技術開発が結実し、直径1メートルを超える世界最大級の丸型ブロックなど、先端分野の需要に対応する超大型品も供給しています。

工業用ガス

工業用ガスは鉄鋼、製紙等の素材産業はもとより、エレクトロニクス、医薬、食品産業など、あらゆる産業分野での必需品となっています。製鉄プロセスから潤沢に得られるCOG(コークス炉ガス)など鉄鋼副生ガスの有効利用と、製鉄用の酸素・窒素・アルゴン・水素・炭酸ガスの供給を基盤として事業を展開しています。 国内半導体、光ファイバー、光源ランプ、特殊鋼向けと多岐にわたる産業分野へ、高品質な各種工業用ガスを安定供給しています。

化学品事業部門 - Chemicals -

コールケミカル事業部門と同様、製鉄プロセスで生成する副産物(粗軽油など)を主原料とする「製鉄由来」と、ナフサや分解ガソリン、改質油などを主原料とする「石油由来」との有機的な結合から、私たちの供給する基礎化学品類、機能性化学品は生み出されています。 独自の製造プロセスと他社にない原料の構成によって、安定生産と優れた
コストパフォーマンスを誇っています。

主な製品・用途
ベンゼン・トルエン・キシレン

基礎化学品として様々な化学品の出発点となり、身の回りの幅広い産業を支えています。日本で唯一、製鉄由来・石油由来の双方の原料を弾力的に処理することができる芳香族製造設備を保有しています。

スチレンモノマー

スチレンモノマーは合成樹脂の代表的な素材であり、食品容器や家電など幅広く使用されています。原料から製品に至る垂直連携と、継続的なプロセス改善、設備改善により事業基盤を強化することで、国内市場への安定供給および中国をはじめとするアジア市場への輸出競争力を備えています。

ファインケミカル

ナイロン原料や各種樹脂の架橋剤、環境対応型溶剤などを取り扱い、様々な産業で不可欠な製品を取り揃えております。また、ニッチな市場の中でグローバルな事業展開をしており、市場から高い信頼を得ています。

潤滑材料

自社独自の技術開発などで蓄積された豊富な技術をベースに、様々な使用環境に対応する潤滑油・グリースの充実を図ってきました。設備の安定操業や寿命延長に寄与するために、日本製鉄のフィールドで培った保全技術(機械を見る目)と分析診断技術(化学を見る目)を融合して、単なる潤滑材の分析ではなく、潤滑材の劣化状況などから予想される設備や装置の寿命診断を提供する総合的潤滑管理システムを構築しています。

機能材料事業部門 - Functional Materials -

回路基板材料、機能性樹脂材料、ディスプレイ材料、有機EL材料はスマートフォンやタブレット、パソコンなどの高機能化・高信頼性が求められる先進分野で高い技術力を発揮しています。また、ハードディスクドライブのサスペンションに使用される金属箔のほか、半導体封止材となる球状微粒子や接合材料など各分野において、高い信頼を得ており、社会のデジタル化・高速通信を支え、電子材料分野でトップシェア製品を多数揃える、欠かせない存在となっております。 他にも、排ガス浄化用メタル担体などの環境対応分野にも展開しています。

主な製品・用途
回路基板材料(エスパネックス®)

フレキシブルプリント基板用無接着剤銅張積層板(二層FCCL)「エスパネックス®」は、当社が独自技術により開発した、低熱膨張ポリイミドによる無接着剤化を実現した製品です。スマートフォン・タブレット・PCを中心とするモバイルIT機器に小型化・軽薄化・高機能化・高信頼性が求められる中、高い評価を得ており、二層FCCLの世界市場においてトップシェアを確立しています。

ディスプレイ材料

液晶ディスプレイの分野におけるカラーフィルター用の透明保護膜(オーバーコート)やブラックマトリクス用のレジスト材料として、私たちが開発した素材が活かされています。コールタール中の成分から誘導した独自の化合物をベースに開発したカルド樹脂は、優れた透明性・耐熱性などの特性に加え、良好なアルカリ現像性等の機能を付与した材料であり、カルド樹脂を用いた当社のレジスト材料は、大型液晶テレビやスマートフォンの普及に貢献する高機能材料として高いシェアを有しています。

有機EL材料(ルミエース®)

次世代表示デバイスとして注目されている有機ELディスプレイは、低消費電力・低環境負荷・高視認性などの特徴があります。長年蓄積してきた芳香族材料の合成技術をベースに、低消費電力を実現する燐光発光材料の開発に早くから着手してきたことにより、世界で初めて赤色・緑色燐光発光材料の開発に成功しました。近い将来ラインナップされる高効率な青色発光材料と併せて、高性能・高品質な材料を安定かつ継続的に供給することで市場での信頼を得ています。

金属箔

当社は長年構築した金属加工技術をもとに、高精度圧延で高純度のステンレス鋼板を厚さ10ミクロンレベルまでの箔化が可能です。代表的な用途はハードディスクドライブのサスペンションと排ガス浄化用メタル担体です。前者は数ナノメートルを制御する安定したバネ性が要求される超厳格品で、世界で8割以上のシェアを占めています。また後者は、自動車や二輪車の排気ガス浄化用触媒保持部材として高温耐久性、低圧力損失などを有しており、今後も地球環境に貢献していきます。

球状微粒子

当社の球状微粒子は主に半導体チップを保護する封止材用フィラーとして使用されてきました。世界で初めて溶射法による球状微粒子製造技術を実操業規模で確立して以降、パソコンやスマートフォンなどの高性能化、高信頼性を実現してきました。他にも放熱シートや放熱フィルムなどのフィラーとして使用され、電子装置を熱から守る用途として電気自動車や高速通信システムへの貢献が期待されています。

ボンディングワイヤ

ボンディングワイヤは、半導体素子の電気信号を半導体パッケージ外部に伝えるための接続素材です。長年、高価な金ワイヤが接続材料の主流となっていたものの、銅ワイヤの表面にパラジウムめっきを施すことにより、世界で初めて大規模集積回路用の銅ボンディングワイヤの実用化に成功しました。

複合材料事業部門 - Composit Materials -

優れた接着性・耐薬品性・電気絶縁性など多彩な特性を持つエポキシ樹脂と、高弾性・高熱伝導性などを特徴とする錆びる事もないピッチ系炭素繊維、またエポキシ樹脂と炭素繊維を組み合わせた複合材料を有しており、産業用機器・医療機器部材・土木建築・スポーツ分野など幅広い分野で活用されています。

主な製品・用途
エポキシ樹脂

エポキシ樹脂とは硬化剤との化学反応により優れた接着性・耐薬品性・耐熱性及び電気絶縁性に富んだ硬化物が得られる機能性樹脂です。この特性を利用して、塗料・電子電気・接着・建築・土木・複合材料などの様々な分野で広く使用されています。また、自社技術により国産初の環境にやさしいハロゲンフリー型難燃性エポキシ樹脂を市場に送り出しました。スマートフォンやタブレット等のモバイル端末などで採用が進んでいましたが、近年の自動車の電装化に伴う需要も拡大しています。

炭素繊維シート

コンクリート構造物や鋼橋等の維持・管理や 構造物の耐震補強対策が大きな社会問題化してきています。 当社製品は補強・補修、コンクリートの剥落対策用材料として 炭素繊維を中心にアラミド繊維、ガラス繊維等を用い腐食の無い軽量な 連続繊維シート、格子筋、プレート、ストランド など様々な形状の補強材料を提供しています。土木・建築構造物の長寿命化に寄与し、これまで培ってきた材料の開発力、構造物への設計力を活かし、それぞれの構造物に適した補強材料、工法を発信します。

熱可塑性プリプレグ(NS-TEPreg®)

炭素繊維を多本数平行に引きそろえたシート状物、あるいは織物状強化繊維に現場重合型フェノキシ樹脂を含浸させたプリプレグ材料です。独自製法により、世界で初めて熱可塑性樹脂をマトリックスとしたピッチ系炭素繊維のプリプレグ化に成功しました。従来のCFRPと同等レベルの強度・剛性を有し、インサート成形により大量生産可能な点や高熱伝導性を活かした放熱部材としてノートPC、タブレット、スマートフォンなどへの適用が可能となります。また、耐衝撃性や2次加工性の良さを活かし、スポーツ用品や義肢装具部材へ展開も期待されています。

ピッチ系炭素繊維

炭素繊維は鉄の1/4の比重で、鉄の約10倍の強度にもなる、「軽くて強い」素材として活用の場が広がっています。当社の炭素繊維は石油やコールタールなどの副生成物から得られるピッチ系であり、寸法安定性、熱伝導率、耐摩耗性や耐熱性、耐酸性、電気伝導性といった点でも優れており、こうした特性から従来の金属材料に代わる軽量化材料として注目を集めています。金属よりも軽く熱伝導率に優れ、さびることもないピッチ系炭素繊維はスポーツ用具から産業部材、人工衛星まで幅広い分野で、なくてはならない材料として浸透しています。

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