2017年入社
専攻 / 化学工学
総合研究所 プロセス開発センター
H・M
大学・大学院の6年間を通して、化学工学を専門分野として学びました。化学工学は移動現象論と呼ばれる物質や熱などの移動を取り扱う学問や分離工学、反応工学などの学問領域から成る、モノづくりに欠かすことのできない分野です。学生時代は、授業や研究を通してこれらの専門性に磨きをかけることが「一番の就職活動」だと考えおり、研究室にこもりっきりでしたね。
入社後は、全国の拠点にある様々な工場のプロセス設計などに関わるプロセス技術部に配属されました。入社1年目では、抽出したタール酸の精製を行っている工場の付帯設備にある連続濾過機のプロセス検討に携わりました。このときは一つの工場のある工程という特化した課題に取り組んでおり、現場に張り付いて周りの方々を巻き込みながら業務を遂行する経験は、とても貴重なものとなりました。
2年目には、冷却塔を新規に導入した場合の既存設備への影響調査として、プロセスシミュレーターを使った業務に携わりました。プロセスシミュレーターは、私たちにとっては業務効率化に欠かせないツールであり、習熟度を上げるチャンスだと捉えて取り組みました。
3年目は、ビスフェノールAを製造する工場内に排ガスの処理設備をつくる業務に携わり、一つ一つの装置設計や処理設備の選定だけでなく発注業務や、工事のパートまで幅広く携わることができ、入社3年目でこんなにも多くのことを経験ができるのかと驚きました。
現在は総合研究所のプロセス開発センターに所属しています。まだ研究開発段階の開発品に対して、化学工学を活かしたアプローチから将来的に大量生産するためのデータを収集して、実機化(商業化)を推進していくことが主な役割です。
例えば、当社の新規炭素材料原料の検討において、私は総合研究所 炭素材料センターの研究者と一緒に、ベンチスケールと呼ばれるラボスケールの数倍から十数倍程度の試験装置を使った実験の計画立案や運転、化学工学に基づく考察や提案などを行っています。
反応工学は学生時代に学んでいた得意分野ですが、反応の解析をするためには反応のモデルが必要となります。そのモデルを作るために、反応の中身の理解が必要なんですよね。
そこで、炭素材料センターの研究員と議論し、反応の中身の理解を深めながら反応モデルを作成し、そのモデルをもとに実際の解析を行いプロセス設計へとつなげていきます。このように開発品の段階から量産化を見据えた検討を行うことで、最速での製品化を目指しています。私自身、小さなラボスケールから実機生産の大きなスケールまでのスケールアップ検討は、教科書の中でしか見たことのない未知の世界。大きなやりがいを感じています。
当社は上司や先輩との距離が近く気さくな方が多いため、ためらうことなく質問ができます。また、2人で話をしているといつの間にか人が集まってきてデスクのそばで議論が始まるようなところも好きですね。こうした風通しの良さに加えて、やはり幅広く経験を積めることも当社の魅力だと思います。私は自ら希望し、現在の部署に異動したのですが、複数の部署の仕事を経験することで、自分にとって何が重要なのか、自分の適性が見えてきました。まだ自分が気付けていなかった自身の強みを知り、伸ばせるということは未知なる成長への可能性を感じます。
現在の目標は、プロセス設計や建設における中心的な存在となり、その後の生産状況に応じた設備改造や操業改善なども提案できる、生産技術全般に理解のある「総合力のあるエンジニア」として活躍することです。今の仕事は、まさにプロセス設計に関する知識を広げられるチャンス。日々の業務で出合う新しい技術を習得していきたいと思います。